年齢のはなし

私たちの日々の暮らしでは、いろいろな所で「年齢」がついてまわるような気がします。自分の周りの人たちの年齢をなんとなく意識している人も少なくないでしょう。働く場所でも、趣味の集まりでも、時にはママ友の付き合いでも。学校の先輩・後輩関係も卒業後も続きます。履歴書はもちろんですが、何かを申し込むちょっとした用紙にも年齢記入欄があったりします。その一方で「年齢を聞くのは失礼」とか「年齢は聞かれたくない」と考える人もいます。

日本語の特徴である尊敬語や謙譲語という敬語表現が、私たちに相手の年齢を意識させるのかもしれません。社会的立場などだけでなく自分よりも年齢が上の人には敬語を使うことが一般的な慣習なので、相手の年齢をある程度意識せざるを得ないとも言えます。

会社の中でも年齢は結構重要です。若手、中堅、リーダー、管理職などの社内の立場は、ほぼほぼ年齢と連動しています。60歳以降での定年はもちろんのこと、大企業を中心に50代半ば前後での役職定年もあります。そもそも新卒一括採用で同期入社した人たちが「よーいドン!」でいっしょにスタートするので、お互いの年齢もわかっています。「後進の育成」とか「後輩の指導」など年齢を意識したことばもよく使われます。

定年の延長や再雇用制度の導入により企業等で働く高齢者が増えてくる中で、「年上の部下」を持つことになった管理職も増加しているようです。自分よりも年齢が上で経験も豊かな「年上の部下」にどう対処すべきか、多くの情報がネット上にもあふれています。

「年上の部下」でググってみると7,040万件がヒット。多いですね。年上の部下への指示の出し方、接し方、年上の部下をどう動かすかなどの内容がみられます。

やっぱり年功序列の日本ならでは?と思いながら英語で「年上の部下(older subordinates)」を検索してみました。数が多かったのは「年上の部下を管理する(managing older subordinates)」で2,120万件、日本語サイトの3分の1以下ですが、年上の部下を持って悩んだり、迷ったりしている人が日本と同様にいるということでしょう。米国の人事系のあるサイトによると、米国では1980年以降に生まれたミレニアル世代の労働人口が他の世代より多くなり、また仕事を辞める時期を先送りして働き続ける高齢者も増加しているために、ミレニアル世代が高齢者の上司となることが増えているそうです。ちなみに米国には日本のような一定の年齢での定年退職制度はありません。

シニアにとって年齢の問題には二つの面がありそうです。一つには最早年齢のことはあまり気にしない、年を聞かれれば喜んで答える、だってたいてい「お若くみえますね」とか「とても75には見えません」とか言ってもらえるからです。もう一つはコントロールしようがない年齢に対する少し複雑な思い。例えば「年齢は関係ない」ということばは若手にチャンスを与える時によく使われるけれど、高齢者が働く時には「年齢は関係ない」とはあまり言ってもらえず、年齢だけでチャンスをうばわれたり、特定の仕事に仕向けられたり、そういう経験を少なからぬシニアがしているように思います。

人生100年時代とか、生涯現役とか、アクティブシニアとか、年齢に関係なく活躍しようという社会の流れはありますが、シニアたちはどのようにこれを受け止めているのでしょうか。

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