年金相談
厚生年金を受給しているシニアの皆さんは自分の年金の額についてどのように感じているでしょうか。計算の根拠がよくわからないし、周りも同じ位の金額をもらっているみたいだし、こんなものだろうと思っている方が多いかもしれません。
会社員として働いていた時にはそれなりの金額を毎月、そしてボーナスの時にも厚生年金保険料として払っていたけれども、それが65歳になった時にもらえる年金にどうつながっているのだろうか?そんなモヤモヤ感を少し解消したくて年金相談に行って来ました。
年金相談は電話でも可能ですが、相談窓口に行ってみることにしました。まずは日本年金機構の「予約受付専用電話」に電話をかけて、最寄りの年金事務所窓口での相談の予約をとりました。
当日の年金事務所は比較的すいていて予約時間通りに相談が始まりました。窓口に複数の担当者が並んでいて話をするため、隣の席に他の相談者がいると相談する声がお互いに聞こえていました。
まずは過去の年金加入履歴を確認。「被保険者記録照会回答票」というのをプリントアウトしてくれて、これには納付の記録、職歴原簿記載内容(勤めていた会社)、各月の保険料算定の基準となった標準報酬額など、支給の基礎となる情報がのっていました。
過去の年金加入状況や保険料支払い実績は確認のための第一歩ですが、以前に受け取った「ねんきん定期便」を見るとか、「ねんきんネット」を利用して自分の情報にアクセスすればわかることなので、一番知りたかったのは毎年の支給額の計算方法でした。これについては「老齢年金ガイド」という冊子をくれて計算式が説明されているページも教えてもらいました。
年金事務所の相談窓口のパソコンはインターネットにはつながっていないそうで、個人の「ねんきんネット」にアクセスして、決められた式にあてはめて支給額を計算するのは窓口ではできないとのことでした。
30分経過後には「次の予約の人がいるから」と言われて、そそくさと相談が終わりました。
1回の相談だけですっきりするには年金の仕組みは複雑すぎるのかもしれません。ただ相談員の方から教えてもらったことや、その前後に自分でもネットで調べてみて、へえそうだったのか、という気づきがいくつかありました。
まず厚生年金の年金受給額は支払った年金保険料ではなく、現役時代の給与額と連動するということです。
60代後半あるいは70代前半で年金を受給しているシニアたちが、社会に出て厚生年金に加入したのは1970年代前後だと思います。当時の大卒の初任給は月額数万円でした。大卒男子の初任給平均が10万円を超えたのは1977年のこと。当然のことながら、65歳で年金を受給する段になって1970年代の月給額を現在の価値に換算するような計算はされていません。
また、40代、50代でたくさん稼いでいた人もいるかもしれませんが、毎月の厚生年金保険料の計算のもととなる「標準報酬月額」には上限があります(現在は65万円)。仮に月給が70万円でも保険料の支払いでは月給65万円と見なされるわけで、どんなに月給が高くても年金支給額は青天井とはいきません。
さらには、すごい金額の賞与をもらって年収1千万円以上という人もいたかもしれませんが、厚生年金保険料を賞与からも払うようになったのは2003年4月から。それ以前は月給からのみ年金保険料を支払っていたので、当時の賞与額は年金支給の基礎となる過去の収入に含まれていませんでした。
ねんきんネットにログインして自分の過去の記録を見ると、現役時代に支払った年金保険料納付総額を知ることができます。今厚生年金を受け取っているシニアの大多数は実際に自分が支払った厚生年金保険料より、受け取る年金の方が多いことは間違いありません。
このことを感謝しつつ、年金制度改革が大きな課題となっている世の中で、年金の仕組みに多少なりとも関心を持つことがシニアにとっても大切なのだと改めて思いました。