老人クラブはどこへ行った?

昔はうちの近所に老人クラブがあったけど、どうなっちゃったんだろう?年寄りは増えているのだから、老人クラブの活動は活発になってもよいはずなのに、なんかあんまり聞かないよね。

現在でも老人クラブの活動は続いていると思いますが、どこにあって、どのような活動をしているのか、その姿はあまりよく見えないような気がします。

公益財団法人全国老人クラブ連合会のホームページによると、老人クラブとは地域を基盤とする高齢者の自主的な組織で、仲間づくりや生きがいと健康づくりのための活動や、地域を豊かにする社会活動に取り組み、明るい長寿社会づくりや保健福祉の向上に努めることを目的としています。

老人クラブへの入会はおおむね60歳以上を対象としていて、また歩いて集まることのできる小さな地域の範囲でクラブを組織しているそうです。戦後各地で誕生し、1963年の老人福祉法施行で老人クラブへの行政支援が決まり、各クラブには補助金も出ています。

具体的な活動としては、健康づくりや介護予防のための体操、ウォーキング、シニア・スポーツ、交通安全、子供の見守りパトロール、趣味や芸能などのサークル活動などが紹介されています。26万人余りの会員をかかえる東京都老人クラブ連合会のホームページには、年度ごとの行事日程も公開されていて、年間を通じて様々な活動が行われていることがうかがわれます。

このように実態のある老人クラブですが、厚生労働省の「福祉行政報告例」によると、2019年度(令和元年度)末の老人クラブ数は92,836クラブで、前年度に比べ2,987クラブ(3.1%)減少、会員数は4,988,999人で前年度に比べて256,724(4.9%)減少しています。過去最高だった1995年(平成7年)にはクラブ数が約134,000、会員数が880万人余りでしたが、これ以降継続して右肩下がりでクラブ数、会員数とも減少しているのです(内閣府「令和2年版高齢社会白書」)。

高齢化社会が進行する中で、老人クラブの活動がクラブ数や会員数の上では「衰退」しているように見えるのはなぜなのでしょうか。

「老人クラブ」という名称が悪い、という声も一部には聞かれるようですが、高齢者が増えることで高齢者のライフスタイル、価値観や趣味が多様化していること、さらには高齢者が利用できる公共や民間のサービスが充実してきて選択肢が増え、老人クラブの活動の存在感が薄れていることが大きな理由と言えるかもしれません。

また現役の期間が延びて、60代では働いている人が多く、60代で老人クラブの活動に参加しようという状況にはないということも大きな要因でしょう。

老人クラブの活動が今後さらに衰退していくとしても、それは決してシニアの活動そのものが衰退しているからではなく、むしろシニアの活動がより活発なものとして発展して行っているためと言えそうな気がします。

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