どうぞ安らかに
IL DIVOのメンバー、カルロス・マリーンがイギリスのマンチェスターで12月19日に亡くなりました。53歳という若さでした。
こう書き出しても多くシニアの皆さんはきっと「それは誰?」と思われるでしょう。でもカルロスの死が日本経済新聞の死亡通知欄で報じられていたとお伝えすると、反応が少し変わるかもしれません。リタイアした後も念のためと思いながら新聞の死亡通知欄は必ず見ているというシニアは結構いるのではないでしょうか。
IL DIVO(イル・ディーヴォ)は2003年に結成された男性4人のボーカルグループでデビューは2004年11月。グループ名のIL DIVOとは神のようなパフォーマー、もしくは男性版ディーヴァ(女性歌手、歌姫)を意味するイタリア語とのことです。
IL DIVOのユニークさは、メンバーがそれぞれアメリカ、フランス、スイス、スペイン出身で、また音楽家としてのバックグラウンドもクラシック出身のテノール歌手が2人、バリトンが1人(これがスペイン出身のカルロスです)、そしてポップスアーティストが1人という多様性を掛け合わせたようなグループという点です。全メンバーがソロとしても活躍できる力量を持ちながら、グループとして活動し、美しいハーモニーとパワフルな歌声を聞かせてくれます。アルバムの売り上げ総数は3,000万枚とも言われ、世界的に人気があるグループです。
Il DIVOの音楽はクラシック音楽のクロスオーバー(classical crossover)とかポップとオペラの融合という意味で「ポぺラ(popera)」などとも言われています。フルオーケストラをバックにポップスやスタンダードナンバーを英語、時にはスペイン語やフランス語で歌い、イタリア語の歌曲も歌うという多言語でのパフォーマンスも魅力の一つです。
結成当時は30代前半だった彼らも今は50歳前後。世界各地でコンサートを開き、日本でも数回公演を行い、また東日本大震災の時には「花が咲く」を英語で歌ってくれました。
IL DIVOの桁外れのユニークさや素晴らしさを説明するのは簡単ではありませんが、シニアの皆さんにはその昔日本で人気があったダークダックスやボニージャックスを100倍パワーアップしたグループとでも言えば何となく理解していただけるかもしれません。
2021年12月に予定されていたコンサートが「病気」のために延期され、その後カルロスがイギリスで入院しているという情報も出ました。死因は公式には明らかにされていないようですが、新聞には新型コロナに感染とありました。
音楽の好みは各人各様で世代の差もあるでしょうし、IL DIVOについて言うならばファン層の年齢は比較的高いかもしれません。
音楽のジャンルだけでなく楽しみ方も様々になって、テレビの歌番組も減り、昔のように誰でも知っている歌謡曲も少なくなり、「流行歌」ということばも聞かなくなりました。
それでも、誰でも若いころから(そして今でも)好きな歌手がいると思います。自分にとっての応援歌だという歌を時々口ずさんでいるシニアもいることでしょう。仕事がうまく行かなかった時、この歌を聴いてまた頑張ろうと思えた、というシニアもいるかもしれません。沈んだ心を包み込んでくれる、調子のいい時にさらにテンションをあげてくれる、音楽が持つ力の凄さを感じます。
世界中のIL DIVOファンから”Rest in Peace” (安らかに眠ってください)ということばやその死を悼む声がツイッターで寄せられています。