大学受験の今と昔

今年も1月中旬に大学入学共通テストが行われ、入試シーズンがいよいよ本番となりました。共通テストの志願者数は51万人余りで、2023年3月に高校卒業予定の人たちのおよそ45%にあたるそうです。シニアの中には新聞に掲載された問題にチャレンジしてみた方もいるかもしれません。

と言っても「おれたちが大学受験したころはこんなテストなかったよね」という方がたくさんいるのではないでしょうか。2021年からスタートした共通テストは今年が3回目の実施ですが、その前身は大学入試センター試験。さらに遡ると共通一次学力試験というのがありました。

この共通一次は1979年から実施されるようになったので今60代以上の方は確かにこの手の試験は受験していない方が大多数でしょう。しかも当時の共通一次は国公立大学を受験する人のためのものと考えられていて、私立大学のみの受験であれば基本的に必要ありませんでした。いわば「二次試験」である各国公立大学の本試験を受けるための「一次」だったのです。

1990年に開始された大学入試センター試験からは一部の私立大学も参加するようになり、今では私立大学の多くが「共通テスト利用入試」というのを行っています。共通テストの結果を私立大学受験に使えるもので、共通テストの成績のみで決まる「単独型」と共通テストと各私立大学独自の試験の両方の結果で合否が決まる「併用型」があるそうです。

また一般選抜と言われる従来型の一般入試だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜など選考方法が多様になっていて、半分程度の受験生は年明けの入試を待たずに12月までには進学先の大学が決まっているというのも意外でした。

シニアたちが受験で苦労していた時代、推薦制度などはほとんどなく、大学受験は本当に一発勝負でした。偏差値による大学の序列もかなりはっきりしていて、試験当日の筆記試験(今でいう一般入試)のわずかな点差がその後の人生を左右していた面もあったように思います。大学進学率は今よりもはるかに低かったものの、母集団となる同じ学年の人が250万とか260万人とかいた年もあって、仮に進学率が2、3割だったとしても、今よりも多くの18歳が大学入試に臨んでいたのかもしれません。

試験制度もこの数十年で大きく変わりましたが、なんと言っても驚くのは大学の数の増加です。50年前は400校程度だった大学の数は今ではなんと790校。ほとんど倍増です。1970年代は20%台だった大学・短大進学率も今では50%を超えています。

増えているのは大学の数だけでなく、大学の授業料も本当に高くなりました。文部科学省のサイトにある大学授業料の推移に関する資料によると、1975年の国立大学の授業料は年間36,000円、入学金は50,000円。1976年には授業料が96,000円と大幅に上がりました。当時の大卒初任給は9万円程度だったので授業料とほぼ同額です。1976年の私立大学授業料平均は221,844円で、国立の授業料の2.3倍程度でした。

同じ資料で直近の2021年を見ると国立大学の授業料は535,800円、私立大学の平均が930,943円。どちらもずいぶんと高くなっているのですが、国立と私立の授業料格差はかなり縮小しています。

より多くの人が高等教育を受けることができるようになったのはよいことですが、大学教育の質や奨学金による大きな借金は見過ごせない問題です。大学教育の無償化も一つの可能性でしょうが、全ての大学生の授業料がタダになるならば財源の問題も含めて賛否両論が巻き起こりそうです。

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