待ち時間

最近並んで待ったものは何でしたか?飲食店の行列。人気のある美術展への入場。百貨店の初売り。テーマパークの人気アトラクションの乗り物。病院での診察までの待ち時間。病院以外では待つことはしないというシニアの方もいるかもしれません。

シチズンが「時間」に関する様々な意識調査を行っています。2023年5月に実施した『ビジネスパースンの「待ち時間」意識調査(2023)』によると行列をして待つときに覚悟する時間が2018年の前回調査よりも長くなっていて気長傾向が見られたそうです。

この調査では人気飲食店の入店待ち、テーマパークの人気アトラクション、深夜のタクシーなどでどの程度待つ覚悟があるかを20代から50代のビジネスパースンに聞いています。人気飲食店では1時間までは待つ覚悟という人が約8割と最多でした。テーマパークの人気アトラクションも同様に1時間までは待つという人が約7割。年代別に見ると20代は人気アトラクションならば2時間以上待ってもいいと考える人が4割近くいました。人気アトラクションの待ち時間は若い世代ほど長い待ち時間を覚悟し、40代、50代と年代が高くなるほど待てる時間が短くなっていました。

年齢が高くなるほど長い待ち時間を嫌がるというのはわかるような気がします。何よりも忍耐力が落ちてくるので待つことに我慢ができなくなります。さらには足腰が弱くなってずっと立ちっぱなしで待つのは本当につらい。それに「老い先短い人生」なので、ただただ待つことで時間を無駄にしたくないという気持ちもあるかもしれません。

最近JR山手線のある駅のみどりの窓口で待ち時間をより快適に過ごせるちょっとしたはからいに感心しました。2つある窓口の前には番号がついた椅子が10個ほど並べられていて、自分の順番が回ってくるまで行列せずに椅子に座って待つことができました。1番の席に座っている人が窓口に向かうとその次の人以降順にひとつ前の席に動くという方法です。これだとどちらの窓口の方が早いかなどと悩む必要もありません。多くの人が列車の予約をインターネットで済ませるのでみどりの窓口に並ぶ人はネットが苦手な高齢者が多いように思います。高齢者を長く立ちっぱなしにさせない配慮はありがたいです。

他方でこんなエピソードも耳にしました。行きつけのジムで運動後にシャワーブースを利用しようとした時の話です。混雑する時間帯で全てのシャワーブースがふさがっていたそうです。5分ぐらい待つかもしれないと考えて1つのブースの外で待った時間がなんと15分余り。長湯というのはよく聞くけれど長シャワーなんてない?なんでシャワーだけにこんなに時間がかかるの?ひょっとして髪を染めている?きれい好きな人で頭のてっぺんから足の先まで念入りに洗っている?冷たいシャワーで滝行の修行?まさか中で倒れていないよね?とイライラがつのってきたとのこと。

待ち時間をどの程度我慢できるかは単に待ち時間の長短だけではなく、待っている先の状況がある程度見えること、それによっておよその待ち時間の見当がつくかどうかによるのかもしれません。

ちょっとした事故やトラブルで電車が遅れても車内放送で状況の説明があれば待ち時間も我慢できるという経験は皆さんしているでしょう。他方でいつ来るかわからない深夜のタクシーを待つのはつらいものです。

行列に並ばずに待つものもあります。例えば春の訪れ。四季の中で「待たれる」のは春だけではないでしょうか?「夏は来ぬ」という歌の歌詞はあります。現代風に言えば夏が来たということでしょう。見つけてもらえる「小さな秋」もあります。冬はなぜか「到来」するもののようです。誰も夏や秋は待たず、ましてや大のスキー好きでもなければ冬が待ち遠しいとは思わないでしょう。

真冬日と季節はずれの暖かい日とが行ったり来たりの中で多くの人が春の訪れを待っていそうです。

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